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天体感測のススメ

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宇宙を感じる生活

銀河M82超新星の膨張速度の変化を捉えました!

2014年1月、銀河M82に現れた超新星の続きです。
前回「銀河M82の超新星爆発の膨張速度を測ってみました!」では小さな望遠鏡でドップラー効果を使って膨張速度を求めることができ驚きました。

あのとき膨張速度の変化も測ってみたいと言っておきながらそのままに・・。実はスペクトルの撮影は3回行っていました。さっさと解析しないと次から次へと色々な興味深いものがやってきて手につかなくなるのもですね。毎度同じ反省している気がしますが(^^;

早速、本題へ。
変化がわかるように、超新星のスペクトル部分だけ切り出して並べてみた画像がこちらです。
b0253922_20185836.png
前回同様、SiⅡというのが膨張速度を求めるために使用した吸収線になります。
ノイズに埋もれず吸収線が見やすいように、画像をあえて小さくし縦に引き延ばしました。
3回の測定とも矢印をあたりが少し暗くなっているのがわかるでしょうか。

さらによーく見るとその吸収線が時間の経過と共に左から右にわずかに動いています。
見えないよって?さすがに見た目では厳しいかもしれませんね。
実際はノイズの影響を減らすためプロファイルというものをとって数値化しグラフからピークを求めます。

観測結果から膨張速度の変化をグラフにした結果がこちらです。
b0253922_20195554.png
3回の観測で徐々に膨張速度が落ちていったことがわかりました!
比較のため、参考文献※1の論文の観測結果を一緒に記載します。(値は論文のグラフから読み取り)
私の観測は誤差が大きいので偶然だと思いますが参考文献とかなり一致しています。
とにかく超新星爆発後の膨張速度は少しづつ落ちていく様子は捉えることができました。


せっかくここまで分かりましたから
超新星爆発によって広がるガスが周囲の星に与えるのにかかる時間感覚を掴んでみたいです。

私たちの住む太陽系に一番近い星(4.3光年)で膨張速度について想像してみます。
今、その星がドカンと超新星爆発を起こしたとします。
光のスピードで4.3年かかる距離ですから気が付くのは4.3年後になります。
そして爆発によるガスが届くのは、速度を毎秒1万2000kmとすると・・ざっくり100年余りかかる計算に(^^)
普通の人は生きていないぐらい後になるんですね。
(ちなみに太陽系に一番近い星はケンタウルスα星は星の質量からして超新星爆発することはありませんのでご心配なく。そんな風に断言できるのも長い間科学を積み上げてきた成果なわけですからすごいですよね)

1987年に大マゼラン銀河で超新星爆発が観測されました。
爆発よりずっと前に、この星からゆっくり放出され取り巻いていたリング状のガスがあり、中心には超新星爆発を起こした星があります。(下図の左上を参照)
そこに超新星爆発を起こした衝撃波が2001年以降届いて明るく輝く様子をハッブル宇宙望遠鏡が撮影しています。(NASA HPより 図中の1994、1998・・が観測年を表す)
b0253922_20214298.jpg

このリングは約1光年の大きさだそうです。
中心から0.5光年、リングに到達するのに1987年から2001年までで14年間かかったことにして計算すると・・
そのスピードは「毎秒約1万km」になります。
今回の解析した膨張速度の結果と近いですね。
これぐらいの速さで広がっているんだ、という感覚は掴めます。

また、有名な「かに星雲」は1054年に爆発が観測された超新星の名残です。
現在は毎秒1100kmで広がっているとか。(wikipediaより)
最初は速かった膨張速度が約1000年経ってこれだけ落ちてきたと推測できて面白いですね。

超新星爆発が周囲の星間ガスを圧縮して次の星が生まれるきっかけをつくると言われますが、その爆発によって広がる速さは意外にゆっくりで、それこそ何万年という時間をかけて影響を与えていくんですね。

宇宙空間で繰り広げられる時間変化を想像して・・ぐっときました。




参考文献
※1 The discovery of SN2014J in the nearby starburst galaxy M82 arXiv:1402.0849v2
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by star-feel | 2014-09-07 20:52 | 天体感測(実測編) | Comments(0)

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