銀河の遠近がわかる星図を作る
ドブソニアン望遠鏡Ninja-320のヒロシ君が大活躍。
写真は「ヒロシ君」(手前)と、同じ望遠鏡でFさん所有の「アンナちゃん」(奥)の共演の様子です(^^)
「銀河」とは、下の写真のアンドロメダ銀河に代表されるような星の集まりのことです。(学生時代にフィルムカメラで撮影した懐かしい写真です)
アンドロメダ銀河で230万光年、今回Ninja-320で見ることができた最も遠くの銀河で約7000万光年という距離でした。(1光年は距離の単位で、光が1年間に進む距離を表します)
私たちのいる銀河の直径が10万光年ですから、こんなにも遠くのものが、望遠鏡を使って直接目で見ることができるなんて本当に驚きです。
ヒロシ君を持ってから沢山の銀河を見ることができるようになり、知りたくなってきたことがあります。
「今見てる銀河はどれぐらいの距離なのか?」「銀河の分布のどの位置にあるものを見ているのか?」
メジャーな天体には距離が書かれていますが、マイナーなものになると情報がありません。
一つ一つの天体を見るよりその全体的な分布を感じてみたいと思いました。
そこで「銀河の遠近がわかる星図」を作成してみました。(データの引用元と編集の詳細については最後の補足をご覧ください)
まず、こちらは「地球から見た約4億光年までの銀河」を示したもの、です。白い点の一つ一つが銀河です。クリックすると大きい画像でご覧いただけます。
その数なんと4万個あまり。すごい数ですよね。
世界地図と同じように、左右が1周360°の経度、上下が±90°の緯度で、夜空の全天を地図に表しています。
銀河がランダムにあるというより、ところどころ網状に繋がって分布している様子を見ることができます。銀河の白い点のない曲線帯状の空白部分は、天の川の星やガス・塵によって邪魔をされ観測データがない部分で、銀河がない訳ではありません。
なお、星図の中の青い丸は星座を作っている星(恒星)です。分かり易くいくつか有名な星座や目印を書いたものがこちらになります。
そこで近い距離の銀河ほど大きな白い丸で表してみました。約1億光年以下のものに距離に応じて大きさを持たせています。
「銀河の距離星図」完成版
右端の銀河の集中しているところが「おとめ座銀河団」で、その上に「かみのけ座銀河団」があります。
星に詳しい方は拡大して星図と見比べると、メシエ天体やNGC天体が分布のどの辺りにあるのか分かりますよ。
さて、今回、初めて「ろ座銀河団」を見ることができました。
望遠鏡ヒロシ君で見ると視野の中に常に3、4個の小さな銀河を見ることが出来て、さすがは銀河団!と感激しました。見えるものなんですね。
図の円が視野の広さを表しています。
上下に連なった銀河のこの部分を見たということを実感できて満足です。
実際には星図は球体になるので、球体星図として作成してみたのがこちら。着色前の星図を使っています。
球体にすると意外な銀河の連なりが見えたりして面白いものですね。
こういった観測データを公開してくれていて自由に利用できるというのは、本当にありがたいことです。
この星図を使って「銀河の分布を感じる観望」を楽しみたいと思います。
<補足>
今回の星図はこちらのハーバード ・ スミソニアン天体物理学センターの記事の元になっているデータを使用しました。
http://www.cfa.harvard.edu/news/2011-16
データはこちらから。
http://tdc-www.cfa.harvard.edu/2mrs/
このデータの赤方偏移を単純に距離として置き換えています。
実際は銀河自体にそれぞれ動きがあり、私たちの銀河も400km/sというスピードでおとめ座銀河団に向かっていたりするので、特に近い距離ほど置き換えの誤差が発生します。
今回は全体的に分布を見ることを目的としているため厳密にしていないこと、ご了承ください。