ブログトップ

天体感測のススメ

starfeel.exblog.jp

宇宙を感じる生活

カテゴリ:天体感測(実測編)( 14 )

夜空を見上げると星が輝いています。

どの星も点にしか光って見えませんが、
実は「自ら光っている星」と「光を反射して光って見える星」の2種類がある、
ということは聞いたことがあると思います。
太陽は自ら光っていて恒星といい、惑星は自ら光らない、というのを学校でも習いますからね。
b0253922_14574578.png
知識として知ってても惑星を照らしているのはホントに太陽の光なのか?と疑問に思ったことはありませんか?

そこで!
「惑星のように自ら光らない星を照らしているのは太陽光なのか?」を確認してみることにしました(^^)

どうやって確認するのか?
照らされた光を反射する訳ですから、
「照らされた光に無かった色は無いまま」ということになります。

つまりこういう作戦で確認ができそうです。
「自ら光らない天体が太陽光を反射しているなら、その光には太陽光と同じ特徴が見られるはずだ」

光の特徴を見るには、光を基本的な性質に分解してみることができる「分光器」というものを使います。
分解した特徴のことを、光の「スペクトル」と言います。
「音」でいうと音楽を高音から低音の成分に分解して並べたようなイメージと同じで、
「光」の場合は「青から赤の虹色」になります。

太陽光には次のような特徴があります。
b0253922_23284649.png
[1]をご覧ください。
太陽の表面温度は約6000℃あり、その”熱”だけで、青から赤まで滑らかにグラデーションになっているスペクトルが発生します。
白熱電球もフィラメントが2500℃ぐらいになることで熱だけで光っているんですよ。それと原理的には同じです。
次に[2]をご覧ください。
太陽の表面には高温のガスが取り巻いています。熱で発生した光はそのガスによって特有の光の色が吸収され暗くなります。
「吸収線」と呼ばれます。
ここがポイントです!太陽という高温の環境で取り巻くガスによって、特徴的な吸収線を持つスペクトルになります。
その光が地球にも届くので、太陽を観測すると太陽のガスについて知ることができます。

では、その光を反射した天体はどうなるか?
b0253922_23285251.png
[3]のように、太陽光が惑星や衛星に当たり反射するので、地球から観測すると同じ特徴が見られるはず・・という訳です。(※注は下記の補足参照)

さあ、観測です!
今回、観測してみたのは木星の衛星4つです。!衛星はイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストという名前で、4つでガリレオ衛星と呼ばれています。
惑星でも良かったのですが、ガリレオ衛星みたいなものでも本当に分かるのか?ということでチャレンジしてみました。
StarAnalyzer100という分光器を通して実際に撮影したものがこちらです。
b0253922_23311429.png
「直接光」と書かれた元々の光に対して、右に「スペクトル」が一緒に写っています。
ガリレオ衛星の光を十分に集めたため木星は眩しすぎて飽和しています。
木星の光が広がっているので、画像処理で背景の光と差を取って衛星のみの光を取りだし、
視覚的に吸収線が見えやすいようにスペクトルの縦方向の幅を伸ばして並べ、完成しました。
こちらがガリレオ衛星のスペクトルです!
どうでしょう!!
b0253922_23311964.png
引いて見ると、太陽にある吸収線と同じ色(位置)に、うっすらとではありますが線が見えませんか?
確かに太陽光が当たってます!
木星までの距離は太陽と地球の間の約5倍もあります。
そんな遠くにある、しかも月かそれより大きいぐらいの天体に太陽の光が届いて、
反射して戻ってきた光を見ているというのは・・すごいですよね。

ちなみに他の星のもとではどうなるか?
オリオン座の1等星ベテルギウスは自ら光っている星です。スペクトルはというと・・
このようになります。
b0253922_23312368.png
太陽とだいぶ違いますね。これは太陽よりは温度が低いためガスによって吸収される成分が異なるからです。
もしこの星に惑星や衛星があって観測したとすると、この星の光の特徴を持つことになります。

私たち太陽系の天体の光には太陽の光が刻まれているのだあと思うと・・
太陽という恒星が与えている影響の大きさを改めて感じてしまいました!



<補足>
※注 ここでは説明を簡単にするために、太陽光は全てそのまま反射するかのように書きましたが、実際は惑星や衛星が持つガスによって異なる吸収線がさらに追加されたり、火星の表面のように青付近が少し吸収され比較的に赤が反射することもあります。それでも太陽の光の吸収線は残ります。

ちなみに図の中に書かれた吸収線はそれぞれガスの種類(元素)を表し、
「Hβ」水素(複数あるα,β,γ・・のうちのβ)、「Mg」マグネシウム、「Fe」鉄、「Na」ナトリウムになります。




[PR]
by star-feel | 2016-12-18 23:46 | 天体感測(実測編) | Comments(0)

こちらは百武彗星の写真です。
1996年ですから20年も前にフィルムカメラで撮影した、今となっては懐かしい写真です。

b0253922_19270175.png

このときは山奥で見たので空も暗く、淡い彗星の尾が長くしっかり見えて、尾の長さは角度にして90°を超えていました。
それはそれは素晴らしいものでした。

彗星の中心(最も明るいところ)を取り囲むようにして、とても綺麗な青緑色をした丸い部分がありますね。
この部分は彗星の「コマ」といいます。

コマの青緑色は何が発光しているのでしょうか?
実は主に「C2」が発光して見えています。C2は炭素原子が2個結びついたものです。
炭素は元素記号で「C」なので、2個くっついて「C2」というわけですね。(日本語では二原子炭素と言うそうです)

この「C2」は地球上では大気密度が濃いため、短時間で別のものに変わってしまい、日常的な現象では目にすることはない、と思っていました。
ところが、調べていたら家の中にもあることを知ってびっくり!それは・・

b0253922_19290018.jpg
「ガスコンロの炎」です。


ガスコンロの炎の中では何か起こっているかご存じですか?
我が家はプロパンガス(LPG)を使っています。プロパンは水素と炭素でできているんですね。
プロパンを空気に含まれる酸素とで燃焼反応させると、水と二酸化炭素になり、エネルギーとして熱が出てきます。この熱を使ってお湯を沸かしたりしてるんですね。

b0253922_20051557.png
たったの3つの原子「水素(H)」「炭素(C)」「酸素(O)」で起こっている現象というのは驚きですよね。(カッコ内は元素記号)
上の図では、燃焼前後の原子の数が等しくなるように表しています。化学反応式で書くと「C3H8+5O2→4H2O+3CO2+熱」です。
学校で習うのは化学反応式で反応前後を表しますが、今回のポイントはこの燃焼の途中の状態です。
b0253922_20051998.png
実は、ばらばらになったり(分解)、結びついたり(結合)を繰り返しているのです!※参照
この中に「C2」という状態になるものがあると、そこから青や緑の特定の色の光が出てきます。※補足
どうしてC2だけ見えるのか?他の状態からも光は出ていますが、目に見えない光で出ているのです。たまたま目で見える光で強く光ってるのはC2だったというだけです。
例えば、音も高音になり過ぎると超音波になって聞こえないですよね。同じように光にも紫外線や赤外線など見えないものがあります。

本当に、ガスコンロの光も彗星のコマの光も、同じC2の光なのか?実際に観測してみました。
分光器を使って色を分解しスペクトルを比較してみます。彗星はアイソン彗星(2014年)の時に撮影していたものを使っています。
結果はこちらです! ガスコンロの炎と彗星のコマのスペクトル

b0253922_19321869.png

ガスコンロも彗星も、C2が発光したときの色の光が、共通して出ていることがわかりますね(^^)
彗星のスペクトルがぼやけているのは、観測した分光器の違いのせいです。彗星の方がスリットを付けていない分光器のため、彗星の広がりの影響を受けてエッジのない、ぼやけたスペクトルになっています。※補足2
詳しい説明は割愛しますが、色で比較していただければ、同じ色で光が強くなっているのはわかります。

ガスコンロの炎の中と同じように、彗星のコマの中で起こっていることを考えてみましょう。

b0253922_20052273.png
まず彗星は水(H2O)や二酸化炭素(CO2)がほとんどです。
つまり元素としては、水素、炭素、酸素があることになりますね。(他にも窒素などもあります)
それが宇宙空間にガスとして放出されると、太陽光の強い紫外線により、ガスコンロと同じようにばらばらに分解されていきます。
その途中でC2という状態が生まれることになります。

C2の状態になって、それがまた太陽光によって分解してしまう確率がだいたい決まっているので、一定時間が経つとほとんど分解されC2がなくなります。
彗星全体から放出されたガスは球状を保ったまま広がっていくため、コマが丸くなって見えるのです。
寿命はざっくり10~100日ぐらいだそうです。

これからは彗星の写真を見るたびにガスバーナーのように見えてしまいますね(^^) ※あくまでコマの部分についての話であって、尾は異なりますので注意してください!尾の話はまたの機会に。

彗星の色とガスコンロ、日常の中の現象に同じ光があることを知って・・感動です。




<参照>
東京ガスのホームページの解説が、メタンガスの例ですが、とても分かり易くお薦めです。→東京ガス →東京ガス スペクトル
特に燃焼の途中の状態を示した表が驚きです。こんなに沢山の反応があるなんて。

<補足>
C2になっただけで発光しているわけではありません。C2のまま電子の状態が変化したときに発光します。
エネルギーが加わって電子が励起され、元に戻ったときに光が放出されます。

<補足2>
ガスコンロの炎のスペクトルは、昭和機械製作所の「VEGA」という直視分光器で、デモ機をお借りした際に撮影しました。アイピースのような姿をした分光器に、カメラを取り付け、撮影対象に真っ直ぐ向けて簡単に撮ることができます。スリットも付け外しできるので便利です。天体望遠鏡のアイピースの代わりに分光器を付けて天体も撮影できます。これ一つで、ガスコンロの炎も彗星もどちらのスペクトルも撮影できるってすごいですよね。詳細をお知りになりたい方はこちらをご覧ください(VEGAはカタログダウンロードのみ) →昭和機械HP









[PR]
by star-feel | 2015-09-06 20:27 | 天体感測(実測編) | Comments(2)
いて座に新星が現れています。
新星は読んで字のごとく、まるで新しい星が生まれたかのように、突然星が現れて見える現象です。

発見されたのが3月15日23時日本時(2015年)で、4月5日現在、さらに明るくなって(4.5等)見えています。
双眼鏡なら余裕で見える程度です。ぜひ早起きしてご覧になってください(^^)
発見約2日後の3月18日に撮影してみた写真がこちら。
b0253922_18595258.png
空が白み始めていたので星がだいぶ消えていますが、いて座の星座を形作る星達と一緒に見えています。
見た目では星が見えているだけです。特徴がある訳ではないので普通の星にしか見えません。

普通の星のように見えて、実は何か違いがあるのか?
これは星を色に分解して、「スペクトル」で成分や状態を見てみるチャンス!(^^)

以前、「銀河M82の超新星爆発の膨張速度を測ってみました!」でやったのと同じように、分光器(StarAnalyzer100)で色に分解して観測してみました。1枚の写真の中に、星の光とそのスペクトルを、横並びにして一緒に写すことができます。
カメラを向けて撮影してみると・・他の星と明らかに違ってる!(分かり易くするために3/29の画像を使っています)
b0253922_20094460.png
違いが分かりますか?暗くて分かりにくいかも知れませんが、普通の星は青から赤色にかけて明るさが連続的に変化しているのに対し、新星には色のところどころに明るい部分があります。

初めてスペクトルを撮影した3/23と、その後3/27との比較がこちらです。
スペクトルが大きく変化しているのを偶然捉えました!(^^)
b0253922_19343599.png
上のスペクトルには、下のような明るい線(輝線)がなく、逆に同じ位置に暗い線(吸収線)が現れています。
実は、上のスペクトルを撮影した時には、個人的にかなり衝撃だったんですよ。
一般的に新星が下のようなスペクトルの状態になるという知識を持っていたからです。
撮影する対象を間違ったかと焦って何度も確認し、どうしてそうなるんだろうと考えてモヤモヤしてました(^^;

このスペクトルからも水素の状態など色々なことが読み取れますが・・今回の説明はここまでにしておきます。
いまは科学的な解析をするためカメラの特性など様々な補正を行っているところです。

いずれにしても、星のただの点に見えたものが、実はこんなに変化していた!というのは驚きです。
止まっているように見える星の世界も、違った見方をすると激しい変化が見えたりして、面白いものですね(^^)



<補足>
その後の調べでわかってきたのは、
実は、発見直後は下のスペクトルと同じように輝線があったらしい→ 新星が明るくなって極大を迎えたときに上のスペクトルのように吸収線だけになった→ その後、新星が一旦暗くなり、下のスペクトルのように輝線が出てきて→ 再び新星が明るくなって、今(4/5)に至るまで輝線が出たままになっているらしい、ということです。









[PR]
by star-feel | 2015-04-05 22:23 | 天体感測(実測編) | Comments(0)
2014年1月、銀河M82に現れた超新星の続きです。
前回「銀河M82の超新星爆発の膨張速度を測ってみました!」では小さな望遠鏡でドップラー効果を使って膨張速度を求めることができ驚きました。

あのとき膨張速度の変化も測ってみたいと言っておきながらそのままに・・。実はスペクトルの撮影は3回行っていました。さっさと解析しないと次から次へと色々な興味深いものがやってきて手につかなくなるのもですね。毎度同じ反省している気がしますが(^^;

早速、本題へ。
変化がわかるように、超新星のスペクトル部分だけ切り出して並べてみた画像がこちらです。
b0253922_20185836.png
前回同様、SiⅡというのが膨張速度を求めるために使用した吸収線になります。
ノイズに埋もれず吸収線が見やすいように、画像をあえて小さくし縦に引き延ばしました。
3回の測定とも矢印をあたりが少し暗くなっているのがわかるでしょうか。

さらによーく見るとその吸収線が時間の経過と共に左から右にわずかに動いています。
見えないよって?さすがに見た目では厳しいかもしれませんね。
実際はノイズの影響を減らすためプロファイルというものをとって数値化しグラフからピークを求めます。

観測結果から膨張速度の変化をグラフにした結果がこちらです。
b0253922_20195554.png
3回の観測で徐々に膨張速度が落ちていったことがわかりました!
比較のため、参考文献※1の論文の観測結果を一緒に記載します。(値は論文のグラフから読み取り)
私の観測は誤差が大きいので偶然だと思いますが参考文献とかなり一致しています。
とにかく超新星爆発後の膨張速度は少しづつ落ちていく様子は捉えることができました。


せっかくここまで分かりましたから
超新星爆発によって広がるガスが周囲の星に与えるのにかかる時間感覚を掴んでみたいです。

私たちの住む太陽系に一番近い星(4.3光年)で膨張速度について想像してみます。
今、その星がドカンと超新星爆発を起こしたとします。
光のスピードで4.3年かかる距離ですから気が付くのは4.3年後になります。
そして爆発によるガスが届くのは、速度を毎秒1万2000kmとすると・・ざっくり100年余りかかる計算に(^^)
普通の人は生きていないぐらい後になるんですね。
(ちなみに太陽系に一番近い星はケンタウルスα星は星の質量からして超新星爆発することはありませんのでご心配なく。そんな風に断言できるのも長い間科学を積み上げてきた成果なわけですからすごいですよね)

1987年に大マゼラン銀河で超新星爆発が観測されました。
爆発よりずっと前に、この星からゆっくり放出され取り巻いていたリング状のガスがあり、中心には超新星爆発を起こした星があります。(下図の左上を参照)
そこに超新星爆発を起こした衝撃波が2001年以降届いて明るく輝く様子をハッブル宇宙望遠鏡が撮影しています。(NASA HPより 図中の1994、1998・・が観測年を表す)
b0253922_20214298.jpg

このリングは約1光年の大きさだそうです。
中心から0.5光年、リングに到達するのに1987年から2001年までで14年間かかったことにして計算すると・・
そのスピードは「毎秒約1万km」になります。
今回の解析した膨張速度の結果と近いですね。
これぐらいの速さで広がっているんだ、という感覚は掴めます。

また、有名な「かに星雲」は1054年に爆発が観測された超新星の名残です。
現在は毎秒1100kmで広がっているとか。(wikipediaより)
最初は速かった膨張速度が約1000年経ってこれだけ落ちてきたと推測できて面白いですね。

超新星爆発が周囲の星間ガスを圧縮して次の星が生まれるきっかけをつくると言われますが、その爆発によって広がる速さは意外にゆっくりで、それこそ何万年という時間をかけて影響を与えていくんですね。

宇宙空間で繰り広げられる時間変化を想像して・・ぐっときました。




参考文献
※1 The discovery of SN2014J in the nearby starburst galaxy M82 arXiv:1402.0849v2
[PR]
by star-feel | 2014-09-07 20:52 | 天体感測(実測編) | Comments(0)
第1弾は「小惑星の地球接近 同時観測に成功!」で地球の近くをかすめていった小惑星を、
第2弾は「月の距離を測ってみました!」で月の距離を"感測"してみました。
そして第3弾となる今回測ってみたのは「流星」です。
b0253922_1710158.png
流星は「流れ星」と言われるように、まるで夜空の小さな星が空を駆け抜けていったように見えます。その時、見た目での遠近感は全くありません。

見ているだけでも十分綺麗なものをリアルに感じてみた~い!というのが"感測"の極意!?(^^)
高さを自分たちで測ってみようと、大山天文同好会のメンバーに声をかけてチャレンジしてみました。

神奈川県内のそれぞれの観測点で申し合わせた2時間の間に撮影を行い、3個の同時流星を捉えることに成功しました!(Fさん、Kさん、ありがとうございました)今回の結果は、昨年12月(2013年)のふたご座流星群のときに観測したものです。
その内の1つ、16km離れた観測点から同じ流星の撮影に成功したものを交互に表示したのが下の画像です。(星が同じ位置になるように画像を回転して向きを合わせてあります)
b0253922_2338233.gif
画像上に流星と書かれた下に一筋の流星が流れています。
下にハテナ?マークを逆にした並びの星達は、しし座の頭「ししの大ガマ」と言われる部分です。
上に2つ並んだ明るい星がふたご座の1等星のポルックス(右)とカストル(左)です。
それぞれの観測点から見ると流星の位置が結構大きくずれているのがわかりますね。

早速、計算をして流星の流れた三次元の位置を出しました。結果は・・

地上からの高さ 発光点 97km → 消滅点 81km

と出ました!
高くにいる飛行機や雲でも約10kmですから、それに比べて高いですね。
高さだけでなく三次元の空間位置をGoogleEarthに書いてみるとこうなりました。(黄色の線が流星です)
b0253922_23382586.jpg
もうちょっと上空から見るとこんな感じ。東日本全体からすると小さいですね。
b0253922_23414816.jpg
そして地球全体からすると・・矢印の先、わかりますか?(笑)
ほぼ地球の表面ですね(^^)
b0253922_234226.png
今回観測できた残り2つの同時流星の流星の高さもそれぞれ96→82kmと、95→86kmという結果でした。

流星はゴマ粒ほどの小さなチリです。
ほぼ真空の宇宙空間を高速に飛んでいてたまたま地球にぶつかったとき
地球を包む大気との摩擦で高熱になりプラズマとなって明るく輝く現象です。

もし宇宙空間に地球の大気と同じ濃さのものがあったら?・・
その場で流星になって燃え尽きてしまうわけですから、
そんなことはなく地球にぶつかるまで生き延びているということは・・
宇宙空間の何もなさというのを感じていただけるでしょうか。

つまり「流星は地球の大気の存在を感じさせてくれる」ものなんです。
流星をみたら「あっ大気が(間接的に)見えた!」と思って楽しむと面白いですよ。

そして、地球大気の厚さの薄いこと薄いこと!
宇宙船は別にして地球に生きるすべての生物がこの薄っぺらい大気の中でしか生きられないと思うと・・
大切にしなきゃね、って思いますよね(^^)


<補足>
・今回、観測地の距離が5km弱でも同様に約80-100kmの高さを出すことができました。5kmですから中高生の天文サークルでも自分たちのグループ内だけで観測が行える程度の距離です。1度は経験してみると面白いと思います。

撮影データ
観測点A 神奈川県宮ケ瀬湖にて 2013/12/14 3:38:06 露出20秒 Canon EOS Kiss Digital X 17mmF2.8 ISO1600 撮影:Fさん
観測点B 神奈川県秦野市にて2013/12/14 3:37:59 露出20秒 Nikon D5100 28mm ISO1600 撮影:N
同時流星時刻を3:38:12として計算
[PR]
by star-feel | 2014-07-13 00:36 | 天体感測(実測編) | Comments(0)
銀河M82に現れた超新星爆発の凄さを体感してみたい!と思い、膨張速度を測ってみました。
私にとって人生初の試みでした。
詳しい説明は後にして、撮影した画像と結果のグラフからお見せしますね。
b0253922_18453858.png
撮影データ:2014/1/31 21:34 FC76+NikonD5100 分光StarAnalyzer100+3.8°prism ISO1600 露出120秒 3枚コンポジット 神奈川県秦野市にて

前回ご紹介した(→M82銀河の超新星爆発)の超新星と銀河M82が、左側に縦になって小さく写っています。(前回の画像はトリミングしてあるので大きく見えています)
そして、右側に虹色に写っている部分が、超新星の「光の色の成分」を表わす「スペクトル」です。
色が綺麗ですよね~(^^)
分光器という特殊な光学部品を入れているので、この場合、星の右側にそれぞれの「スペクトル」が写るのです。(普通に撮影したときと分光器を入れて撮影したときの比較は、最後の補足を参照してください)

よーく見てみると、超新星のスペクトルだけ、他の星のスペクトルと大きく違っていることに気が付きましたか?
そう、青→緑→赤と並んだ色の赤色のところが、急に暗くなっていますよね!
実は、この暗くなったところを使って、超新星爆発のガスの膨張速度を求めることができるのです。ほんとに?って感じですよね(^^)

正確に膨張速度を測るために、このスペクトルの輝度をグラフにしたのが、こちらのグラフです。横軸を、色を数値化した「波長λ」に変換していますが、画像と同じように左が青色、右が赤色になっています。(カメラの感度特性をある程度補正してあります)
b0253922_2112413.png

超新星のスペクトルの赤色が暗くなって見えたところは、このグラフの「SiⅡ」と書かれた凹んだところになります。Siとはシリコンもしくはケイ素と呼ばれる元素です。

さて、膨張速度はどうやって測るのでしょうか?
今回の超新星までの距離は遠すぎて、爆発が広がっていく様子なんてとても見ることはできません。

「ドップラー効果」という言葉は聞いたことがあると思います。そう、救急車が自分に近づく時と遠ざかる時で音程が変わる、あれです。
あれと同じことが光の世界でもおきています。
超新星爆発によってガスが猛スピードで広がっていて、その中の自分に向かって飛んでいるガスの、「音程」に相当する光の成分が変化するのです。光の場合は、音程に相当する違いが「色の違い」になって現れます。
地球で観測される猛スピードで近づくガスのイメージは、こんな感じです。(大きさや距離は全くデタラメです)
b0253922_2329259.png
図1のうち、図2のこちらに向かって飛んでいるガスが、ドップラー効果によって波長が変わって見えるのです。

ではもう一度、超新星のスペクトルのグラフを見てみます。
実は、SiⅡの凹んだところが本来は「635nm」と書かれた位置になるはずのものなのですが、「609nm」と書かれた位置に写っていたのです。つまり26nm分だけ色が青色側に変化したことになります。

このズレ量を、光のドップラー効果として膨張速度を計算すると・・・

「12300km/s」 (観測の精度は高くなく、誤差は10%程度見込まれます)  計算は下の補足参照

と出ました! 速っ!!

この速さを感じたいですよね。計算してみると・・
・地球1周に3.2秒    →すごい速さですね。
・月まで約30秒     →わかりにくい?
・1光年進むのに約24年 →意外と遅い?   
となりました。

しかし、超新星爆発の膨張速度を、自分で撮影して求めることができるなんて驚きです。しかも比較的小さな望遠鏡で、分光器も教育用の安価なものでしたから。できるもんなんですね~。
この膨張速度は段々遅くなるそうです。超新星自体が暗くなっていくので、いつまで観測できるか分からないですが、変化も「感測」してみたいです。
<9/6追記>膨張速度の変化を捉えました→リンクはこちら

今回使った分光器StarAnalyzer100は、4ヶ月前に手に入れたものなんですが、使い方に慣れてきて面白いものが見えてきました。また順次紹介していきますね。



<補足>

・普通の画像と分光器を入れて撮った画像を、交互に表示してみるとこんな感じになります。星から一定間隔離れた右側に、スペクトルが現れているのがわかりますか?(色の階調が落ちているのはgifアニメーション画像にしたためです)
b0253922_1075397.gif

・ 膨張速度が分からない状態では、ドップラー効果の量がわからないのに、どうしてSiⅡの位置が特定できるのって疑問に思いませんでしたか?実は必要な情報を予め手に入れていたからです。
 それは、今回の超新星がIa型というタイプということ。
 Ia型のスペクトルの特徴が決まっているらしいので、SiⅡの吸収線がどれだか分かった訳です。
 また、過去のIa型の超新星のスペクトルデータも参考にしています。

・スペクトルの凹んだところは吸収線(吸収帯)と呼ばれます。

・高校物理を思い出せる方は、図3のような図を見たことがあるかも知れません。特定の波長に吸収線が現れるという実験です。(※よくある図ではガスバーナーにNa等をかざしますが、この図では省略してあります。何か特定のガスがあるとお考えください。)ガスを猛スピードで動かすと吸収線の色がドップラー効果によって変わります。

・光のドップラー効果で膨張速度を求めた計算式は、⊿λ/λ=v/c です。
 吸収線のずれが⊿λ=26nm 、SiⅡのλ=635nm、光速 c=300000km/s を代入して
 v= ⊿λ/λ*c = (26/635)*300000 = 123000km/s となります。簡単ですね~。
[PR]
by star-feel | 2014-02-23 00:34 | 天体感測(実測編) | Comments(0)
おおぐま座のひしゃくの先の方にあるM82と言われる銀河に超新星が現れました。発見されたのが1月22日4時日本時(2014年)ですからつい先日です。
超新星は「新星」と書きますが星の最期の爆発している姿です。紛らわしいので「超新星爆発」といった方が想像しやすいかも知れませんね。
小型の望遠鏡で撮影してみました。昨年5月(2013年)に撮影した画像を並べています。
b0253922_042692.jpg
この写真の見方は
・雲のように広がっているのが銀河です。遠すぎて写真では星1個1個には分解して見えません。
・下の緑の線のクロスしているところにある星がただいま超新星爆発中の星です!
・他の星は全て私達のいる銀河系の星です。M82と超新星よりずっとずっと手前の位置にいます。
・上の2013年5月の写真には超新星が写っていないことがわかります。

この銀河までの距離が1200万光年と言われていますから、1200万年前に爆発した光がやっと見えたことになります。想像できますか?(^^)

ちなみに銀河っていうとすごく遠いからとっても小さいんでしょ?
と思われがちですが、暗くて直接 人間の目では見えないだけで意外と大きかったりします。
見かけの月を合成して大きさを比較してみるとこんな感じになります。
b0253922_0281623.png
普段見ている月を想像していただくとその大きさがわかると思います。

超新星の明るさは現時点(2014/1/25)で11等級程度です。
人間の目で見える最も暗い星が6等星なのでそのさらに100分の1の明るさです。
爆発しているのに物凄く暗くみえるのはただ遠いだけ。
じゃあもし近くに持ってきたらどうなるんだろう、と思って計算してみました。
例えばシリウス8.6光年にこの超新星を持ってくると・・ざっくり-19等級と出ました。
満月よりも明るく輝く星になりますね。見たいような怖いような・・

望遠鏡を使って目で見えるか試したところドブソニアンのヒロシ君Ninja320で超新星がはっきりと見えました。
もちろん、爆発しているような変化は全く見えませんよ。言われなければ ただの星にしか見えないので、爆発の様子は自分で明るさを想像して楽しみました(笑)
写真では星が大きな丸になっていますが、目で見るととってもシャープな点に見えます。
よく考えたら、自分がこれまで望遠鏡で星を見てきた中で1つの星の光として認識できた最も遠くの天体になるんですね。感慨深いものがあります。

2014年2月上旬に最も明るくなる(10等程度)予想だそうです。
ぜひお近くの天文台や観測会に行って、この遠い遠い星の爆発の姿をご自分の目でご覧になってくださいね。

<追記>
後日、超新星爆発の膨張速度を測ってみました→リンク「銀河M82の超新星爆発の膨張速度を測ってみました!」


撮影データ
1枚目 神奈川県秦野市にて FC76+D5100 露出30秒 ISO1600(1/24は3枚コンポジット) 直焦点撮影をトリミング
[PR]
by star-feel | 2014-01-26 02:02 | 天体感測(実測編) | Comments(0)
以前、パンスターズ彗星の尾の謎について考察してみたことを書いていました。
これまでの流れはこちらをご覧ください
パンスターズ彗星の尾の謎   → <続> パンスターズ彗星の尾の謎

「謎の直線の尾は、彗星から沢山のダストが3月5日頃に放出されたからではないか?そうでないと空間上の尾の方向が説明できない」
と推測したものの、放出されたのならばその後明るくなってもよいのに特別な明るさの変化もなく謎のまま・・という状態でした。

その後、ブログの記事を元に聞いてまわったところ、幸いにも彗星研究者の方々に出会うことができました。

結論からいいますとパンスターズ彗星の謎だと思った尾は「ネック・ライン・ストラクチャー」と考えられる、ということです。

「ネックラインストラクチャー」とは、彗星から放出されたダストが、放出した地点に対し彗星軌道の反対側で再び収束するダストの帯のことをいいます。
正確には放出されたダストの彗星軌道面に対して上下の方向の成分のみが収束します。
図に書いて説明しようと思ったのですが・・なかなかうまく書けません(笑)
一応トライしてみますが説明がわかりにくかったらごめんなさいね。

まず、地球からどう見えるかは置いておいて、ここでは彗星と太陽のみで考えます。
彗星は太陽の引力によって軌道を描きます。宇宙空間ですから彗星の軌道が斜めになっている場合もあります。
重要なことは彗星の軌道を面として表わすと「彗星の軌道面上に必ず太陽がある」ということです。

そしてこの法則は彗星から放出されるダストにも当てはまります。
ダストは「彗星自体の速度」と「彗星からの放出速度」が合成された速度で宇宙空間に放たれた物体になります。
彗星本体は直径何km程度で、惑星などに比べれば天体としては小さな物体なので、放出したダストに与える引力は無視できる程度です。そのため放出されたダストも太陽のみの引力で太陽の周りを回る1つの天体と考えることが出来ます。
つまり彗星のダストの軌道もまた「ダストの軌道面上に必ず太陽がある」ということになります。

以上を踏まえて、例えば彗星軌道面を上から見た図はこのようになります。
b0253922_12162157.png

ここで、Aの位置にいるとき動いている彗星からあらゆる方向にダストが放出されますが、
その中で軌道面に対して上下に同じ速さで放出したダストの動きを考えましょう。
b0253922_12155755.png
図のように彗星軌道面を横から見ると、上に放出されたダストは彗星の上を通り太陽をはさんで反対側のA'の位置で彗星軌道面に戻ってきます。下に放出されたダストも同様です。
専門的には放出された点が「昇交点」となり、ちょうど太陽をはさんで反対側にいったときに「降交点」ということになります。
重要なポイントは、放出された位置から180°反対の位置で彗星の軌道面と交わることです。
収束したときに軌道面の横方向から見るとダストの密度が高くなることからネックラインストラクチャーの尾として見えるようになるのです。
すれ違った後は再び拡散していくことになります。
この現象はAの位置に限ったことではありません。彗星は休むことなくダストを放出しているのでBやCの位置で放出したダストについても同様のことが発生します。
b0253922_13212225.png
面白いことに上下方向だけが収束するので、彗星軌道面の上からネックラインストラクチャーを見ても見かけのダストの個数には変化がないために全く見えません。見る方向によって全く見えなくなるダストの尾って不思議ですね。

パンスターズ彗星の5月の尾で推測したときの図をもう一度確認してみましょう。
b0253922_15122511.png
3月5日の放出の位置に対して5月31日の位置はおおむね太陽を挟んで反対側にありますね。
たまたま「3月上旬に放出説」にたどり着いたとはいえ驚きです。
ネックラインストラクチャーと考えることで3月5日頃に特別な増光がなかった矛盾をクリアすることもできます。
以前、パンスターズ彗星の謎の尾の長さが5月31日の観測から3800万km程度と計算していました。3ヶ月も前に放出したダストが時間を経て3800万kmもの長さで再び収束している状態って・・想像するだけでゾクゾクしますよね!

シミュレーションもやってみました。方法は四方八方に1km/sのダストを放出しそれぞれのダストの動きを計算します。4月の尾について計算したところ、「3月5日頃に大量放出説」と考えた場合より「ネックラインストラクチャー」による尾の方がシミュレーション結果が一致していることも確認できました。

ただ、腑に落ちないことも出てきました。
1km/sという放出スピードでシミュレーションをすると図のようになったのですが
青点線の彗星本体の方向に対して、赤線の方向にもダストが広がってしまうのです。
(緑の点が大きな粒のダストの分布、橙の点が小さな粒の分布)
b0253922_1748844.png
もしこれが見えたとしたらどんな長さで写真に見えるかを書き加えて想像図を作成してみました。
b0253922_13474883.png
ネックラインストラクチャーのように収束するのであれば、想像図のように見えても不思議ないと思うのです。
これはしばらく悩んでしまいました。
実際は違っていたということは1km/sという放出スピードの設定がよくないのかも知れないと思い至りました。
そこで通常のダストの尾に邪魔されて見えないのかも知れないが、図の下のような「少なくともこれ以上は伸びてはいない」という条件を作ってみました。
粒の大きいダストの放出スピードの速度の上限をざっくり計算してみると・・
「約170m/s以下」
と出ました。
読み取りもざっくりなので誤差は倍程度はあると見積もっておいた方がいいですが、少なくとも500m/s以上はないのではないかと思います。

ネックラインストラクチャーという特殊な状態を利用して彗星のことを考えるというのも面白いものですね!

11月末から12月のアイソン彗星にはネックラインストラクチャーが現れるのか?
今から楽しみです。



<余談>
実は、ダストシミュレーションは7月に、放出速度の推測は9月末ぐらいにやっていたのですが、宿題が溜まってしまった学生のようにブログに書けずにいました(^^;
書く勢いって大事ですね。
結局、説明もあまりやさしくない中途半端なものになってしまって不完全燃焼です。分かりにくい点はご容赦ください。
[PR]
by star-feel | 2013-10-27 18:38 | 天体感測(実測編) | Comments(0)
※計算に進展がありましたので編集し最後に追記しました(2013/6/29)
前回、パンスターズ彗星のアンチテイルについて疑問に思ったことを書かせていただきました。
今回はその続きですが、少し専門的な内容なので詳しい説明は省かせていただきますね。

さて、謎の件について、問い合わせもしつつ、いただいたアドバイスや資料も参考に、自分なりに考えた結果、次のような推測にたどり着きました。

「パンスターズ彗星が最も太陽に近づいた3月10日頃3月5日頃に、短期間にβ<0.5程度β<0.07のダストが大量に放出される現象が発生し、それが謎の尾になったのではないか」
値の変更とグラフを追加しました(6/29編集)
b0253922_5103498.png


通常の尾を作っているダストは継続的に放出されているが、それとは独立して、謎の尾のダストは3月上旬の一時期にドバっと放出されたってことはありませんか?・・ということが言いたいのです。

ド素人の推測なので、全然間違ってる可能性も大いにあります。疑いの目で見てくださいね(笑)

週末に取り組んでみたのは、
①彗星の軌道要素から位置計算をやってみた
②彗星からダストを放出させてみてシミュレーションしてみた
でした。梅雨の時期は天文計算に限ります(^^)

結果は下の2つのグラフ
・原点が太陽の位置、平面は彗星の軌道面
・グリッドは地球と太陽の距離を1とした天文単位
・緑の線がパンスターズの軌道
・橙の点は前回記事の中のKさんの写真の撮影された日(5/5,5/9,5/13,5/22,5/31,6/8)
・青の線はβ=1.0としたシンダイン曲線
・赤の点線が3/11に放出したダストのシンクロン曲線を直線に置き換えたもの
 (ちなみに3/11の彗星の位置は原点の左側の緑の点のちょっと上です)

左が5/5のダストシミュレーション                  右が5/31のシミュレーション
b0253922_22574074.pngb0253922_22575978.png



















3/11に色々な大きさのダストが放出された後、空間を飛んで5/5時点, 5/31時点の位置を結んだものが、赤の点線になります。
この点線が前回の記事で書いた「謎の尾」の角度に似ています。
さらに左右のグラフを見比べていただくと、この角度が一定角を保ちながら進んでいくというところが重要です。
赤の点線の長さは無視して角度だけ見てくださいね。

なお3/11シンクロン曲線が直線になってしまっているのは、β=1.0は簡単に計算できるけど、他が計算できなかっただけです(^^;)
本来は曲線という通り緩やかに弓なりになるはずなので、直線で書いているのは誤りになるのですがシンダイン曲線よりは直線になるようなので、ここでは仮説を立てる為に強引に直線にしました。
力不足につきご容赦ください。
⇒βが他の値も計算できるようになりました(6/29)

当初は、β=1.0のシンダイン曲線で謎の尾が説明できるのではないか、と頭の中で考えていました。
実際にシミュレーションしたら大はずれでした。
どうしても太陽と反対方向寄りに尾が伸びてしまうのです。

ラチがあかなくなったので、思い切って近日点通過時のβ=1.0を書いたところ、
謎の尾に近い角度が出てきたというわけです。

β<0.5程度と考えてみたのは、Kさんの写真によるアンチテイルの長さが0.25天文単位でしたので、3/11日に放出したと仮定するとβはかなり0に近いと考えないと尾が長すぎるからです。具体的にβも決められるはずですが、こちらも力不足によりわかりません。ご容赦ください。
⇒こちらもβが計算できるようになったため放出日が求められました(6/29)


自分の立てた説に反論してみると・・
近日点通過頃に大きな放出があったなら増光するのでは?
っていうか、近日点通過頃だけに放出ってあまりにも出来すぎてない??

・・・むむむ(笑)

今のところ、こういうモデルでも立てなきゃ謎の尾をうまく説明できないので・・(^^;)


<6/29追記>
この記事を書いた6/25にはまだ彗星の軌道要素から彗星の位置を知ることしかできなかったため、β=1.0のダストしかシミュレーションできず、かなり推測が入ったものでした。

その後、彗星の位置が分かれば放出されたときのダストの速度や方向がわかることに気がついたので最初の初期条件だけで軌道が正確に計算できるものかを試してみました。
高校の物理の教科書を引っ張り出しました(笑)
Excelを使い、ある時刻の位置でのダストの速度に、太陽の引力で発生する加速度からダストの速度に変化を加え次の位置を計算し、ひたすら繰り返しただけです。1分刻みでシミュレーションしました(過剰だと思いますが・・)

その結果、軌道要素から計算した彗星の軌道とほぼ一致しました。当たり前といえば当たり前なんですが、ちょっと感動です!(^^)
条件を設定すれば、動きが計算できるようになったので、βを変えて(太陽の引力の影響を小さくして)同様にシミュレーション。放出日を3/11とすると、謎の尾と太陽の反対方向との角度差が実測より少し小さくなることがわかったので、放出日も変えてみました。Kさんの写真による5/31の謎の尾の長さが実距離で0.25AUでしたので、その長さになるようなβも探しました。

結果は、冒頭のグラフのように3/5頃にβ=0~0.07のダストの放出で観測結果と大体一致するようになったという訳です。グラフの赤い線が謎の尾をシミュレーションで再現したものになります。専門的には3/5放出のダストによるシンクロン曲線ということになります。

Kさんの写真による解析では5/5付近の謎の尾の長さがシミュレーションより短いですが、軌道面をほぼ真横から見ている5/31頃に比べて軌道面を上から見ている状態になっていたため、暗く見えたのだと推測します。

観測から仮説を立ててシミュレーションで再現できるのも楽しいものですね。いつの時代の天文学者さん達もこういう興奮を日々味わっているのでしょうね(^^)
[PR]
by star-feel | 2013-06-25 23:47 | 天体感測(実測編) | Comments(0)
世間的にはパンスターズ彗星の話題はすっかりなくなりましたが、実はまだまだ写真にも撮られています。
先週、ヒロシ君(口径32cmドブソニアン望遠鏡の愛称)を使って自宅から見たら、微かに尾が見えましたよ(^^)

空の暗い環境で写真を撮るとこんな素晴らしい彗星の姿になっています。
これは地元の同好会のKさんが富士山周辺で撮影された写真です。(Kさんありがとうございます!)
b0253922_13453266.jpg
パンスターズ彗星 2013/5/31 23:08 120sec×3コンポジット 100SDUFⅡ400mm ISO1600 D700

実は4月上旬あたりから何かおかしいな?と思い始めたんですよね。

何がって、それは「尾の方向」です。

別の彗星の写真と比べてみましょう。(左は自分の写真、右はKさんの写真です)
b0253922_14485653.png
黄色の点線で囲んだ部分が「ダストの尾」と呼ばれるものです。
彗星から放出されたダスト(塵)が太陽光の放射圧(光圧)に吹かれて伸びている様子が見えています。彗星が高速で移動していくため尾は太陽と正反対の方向にならず、曲がって見えます。
ヘールボップ彗星の方で見えている青色の尾は「イオンの尾」と呼ばれるものでこちらは太陽と正反対の方向に伸びます。

そして、おかしいなと思った尾は「謎?の直線の尾」と書いた尾のことです。
一般的には逆に伸びた尾(テイル)ということで「アンチテイル」と言われます。
アンチテイルは、ダストの尾が薄く広がった平面を横から見たら濃く見え、見かけの方向によって太陽の方向に伸びて見えます。

この尾の変化をKさんの写真で見てみましょう。5月5日から22日の写真です。
それぞれ、「彗星の中心から太陽のある方向」に線を伸ばしてみました。
b0253922_1457545.jpg
アンチテイルと太陽方向との角度が、段々と狭くなっていっているのが分かりますね~。

しかし、観測しているのは地球から見た「見かけの姿」です。以前、パンスターズの模型を作ったように、三次元で考える必要があります。
b0253922_18511237.png
彗星の尾が彗星軌道面にあると仮定すると、写真を彗星軌道面に投射したとき(図の?のところ)の、アンチテイルの姿が知りたいわけです。(彗星の軌道面上にあると仮定した理由は、後の補足で説明します)
ちなみに楕円を描いている彗星の軌道面上に太陽があります。地球が太陽の周りを回っているように、彗星も太陽の引力の影響で周りを回る天体だからです(模型では地球のほぼ円軌道に比べ、彗星の軌道は大きく楕円になった、ほんの一部だけ見えています)

目的は決まったので、後は計算あるのみです。
今回は太陽の方向や彗星の方向をステラナビゲータという天文シミュレーションソフトを使い、彗星の尾の方向を写真から読み取り、懐かしい高校の代数幾何「平面と直線」を使って彗星軌道面上での位置を求めます(^^)

図の?のところに出てきた結果がこちらです!
b0253922_22195947.png
なんと、謎の直線の尾(アンチテイル)の方向は、太陽の方向でもなく、太陽の正反対の方向でもなく、
「太陽の正反対の方向から65~70°の方向でほぼ固定」
になっていました。(注意:こちらは先ほどまでの太陽の方向に対しての角度ではなく、正反対の方向からの角度で表わしています)
グラフの単位の「AU」とは「天文単位」で、太陽と地球の距離を1とした単位です。携帯電話の会社のことではありません。
模型上に表わすとこんな感じです。
b0253922_18525470.png
見かけではアンチテイルと太陽方向との角度が段々と狭くなっていっているように見えましたが、実は「(少なくとも5月は)ずっと方向は変わっていない」ということになります!

ここまでわかって、じゃあ、この尾は何なんだ!と言われると・・分かりません(爆)

アンチテイルの説明で言われる「彗星の軌道面上に薄く広がったダストの尾を横から見たら濃く見える」の部分に関しては、彗星軌道面に近い5/22や5/31の尾がとても長く伸びていることからも説明がつきます。(ちなみに5/31の彗星のアンチテイルの尾の長さが3800万kmと出ました。長い!!)
しかし、ただ軌道面上に広がっているだけだったら、こんな風に特定の方向には伸びませんからね。

さっぱり分からないので、ここは自分で考えて楽しむチャンス!ということで(^^)
色々な説を立ててみています。
例えば、彗星の自転軸が謎の尾の方向で、そちらにダストが特別多く噴出されているから・・とか
・・・(^^;)
いやいや、この説も自分でも納得いかない(笑)
星の世界も色々なことが事前にシミュレーションで分かってしまう時代ですが、不思議を前にするとやっぱり自然を相手しているんだなって思います。

4月上旬から悩み始めてもう2ヶ月。
いい加減ネット上のどこかで誰かが説明してくれているかな~と思って期待しているのですが、
探し方が悪いのか中々見つからないのでブログに書いてみました。
ご存知の方はぜひ教えてください(笑)




ここからは専門的な補足です。

先ほどは、謎の尾が彗星の軌道面にあると仮定して話を進めましたが、もともと謎なんだからそんな仮定をしていいのか?というツッコミができると思います。
自分も5月の上旬あたりまでは、三次元的にどう考えたら良いのかさっぱり分かりませんでした。
Kさんの5月5日~13日の写真をもとに太陽方向からの角度をグラフにしてみたところ、偶然とはいえ、ちょうど地球が彗星の軌道面を通過する5月27日頃に0°になりました。
b0253922_1653251.png
その日に地球から彗星を見ると謎の尾が太陽の方向に見えることになります。
もし、謎の尾が彗星軌道面上にない場合は、地球が彗星の軌道面上の位置にあるときに地球から彗星を見ると、尾は太陽の方向や太陽の正反対の方向とは関係のない方向に向くはずです。つまり、謎の尾が彗星の軌道面上にあるということです。
グラフではその後の5月22日と31日のデータを追加していますが、予想通りの変化をしていきました。面白いですね。
[PR]
by star-feel | 2013-06-09 20:07 | 天体感測(実測編) | Comments(12)

by star-feel