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天体感測のススメ

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宇宙を感じる生活

カテゴリ:天体感測(実測編)( 14 )

調子に乗って(笑)距離を測ってみる、第2弾!

今年の2月中旬に、地球のすぐ側をかすめていった小惑星2012DA14の距離を
測定したお話をしました。→小惑星の地球接近 同時観測に成功!
あのときは富山と神奈川の同時観測によって、小惑星まで3万kmの距離と求めることができました。

そのときに、これなら「月の距離を測る」のもいけるかも!?・・と思ったわけです。
意外と、長く星を趣味にしている方でも、改めて月の距離を観測したことがない方も
多いのではないでしょうか。
自分で測定できたら月の存在を実感できて楽しそう!
早速、月の距離の測定にチャレンジしてみました(^^)

観測は今回も富山のnakaさんをお誘いしました。(nakaさん快諾ありがとうございます!)
やろうと言ったのが前日で(笑)。いつも直前ですみませんね(^^;)
あと地元の天文同好会からFさんも参加してくださいました。ありがとうございました。
(結果は富山と自分の観測のみ紹介させていただきます)

当日は誰の行いのおかげか(!?)お天気に恵まれ、撮影は無事成功しました。
こちらが私のいる神奈川から撮影した写真です。
b0253922_14593319.jpg
2013年4月13日 19時30分0秒 神奈川県秦野市より

そしてこちらが富山から同時刻に撮影した写真です。(nakaさん提供ありがとうございます)
b0253922_1443676.jpg
2013年4月13日 19時30分0秒 富山県富山市より

撮影する際には肉眼で見た月の様子と同じになるよう、
カメラの水平を地平線と平行になるようにして撮影しました。

撮影機材も異なっていますし、色味も違うので、2つの観測点の違いが分かり辛いです。
星の位置を合わせて、色味を調整し、交互に表示してみました。
よーく見てください!
b0253922_14555232.gif
どうです!星の位置と月の位置に注目すると
静止している星に対して月の位置だけがずれてみえますね!
地球を大きな顔として考えると、富山が右目、神奈川が左目として、
月を右目だけ、左目だけで交互に見て、その視点の違いが現れているような状態です。

早速、目的の月の距離を計算しました。
その距離は・・
地球の中心から月の中心まで「39万8000km」
と出ました!
というか、出せるものなのですね~(^^)確認すると誤差は1%未満でしたよ。

地球儀をお持ちでしたら、距離を実感する方法があります。
今回求めた距離は「地球儀の直径の31倍」になります。(正確には31.24倍)
例えば、直径26cmの地球儀なら26×31=806cmで、月の距離が約8m先!になります。
ぜひ試してみてください。

身近な月の距離を改めて測定してみるのは新鮮ですね(^^)



ここからは、どうやって月の距離を観測したか?の説明をします。

まずは作戦をたてました。
距離の測定は、遠く離れた2つの観測点から同じ対象を見たときの、
視点の違いか発生する差=「視差」を利用します。

正確な視差の測定には、位置を正確に求める必要があります。
一つの写真に月と一緒に星を写し込めば、星の位置は天文計算によって事前に
分かっているので、それを使って月の位置を求めることができます。
裏を返すと、星が一緒に写っていないと月の位置が出せないことになってしまいます。

しかしここで問題が・・・
普通に月を撮影すると、光っている部分はとても明るいので、
暗い星と一緒に写すことができません。
逆に露出(シャッター時間のこと)を長くすると、月の画像が飽和してしまい
輪郭から月の中心位置を求めることが出来なくなります。
皆既月食中だったら月が暗くなって星と一緒に写せるんですが・・・

「暗い星を写しこみつつ月の輪郭を残す」ことが必要です。

そこで思いつきました!「地球照」を使えばいいんじゃないかと。
下の写真は両方ともこの日の三日月の写真です。
b0253922_1410524.jpg
カメラの露出時間を4秒まで延ばして写すと、月の暗い側の様子も写ってきます。
この方法なら暗い星が写しこめるかも知れないと考えました。
ちなみに肉眼でも地球照は見えて、上の写真のちょうど中間ぐらいの感じに見えますよ。

また、月も地球の周りを回っているために時間と共に動きます。
こちらは同時刻に測定することで、動きの影響を受けて誤差が出ないようにしました。

月の距離を観測する方法をまとめると
・なるべく遠く離れた2点から観測する(視差を利用するため)
・地球照を写すことで、星を写しこみつつ、月の輪郭を残す(位置を出すため)
・同時刻に撮影する(月の動きの影響を受けないようにするため)
となります。

一人ではできない観測なので、グループでやると楽しい観測になります。
中高生の部活の題材にも良さそうですね(^^)
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by star-feel | 2013-04-21 14:55 | 天体感測(実測編) | Comments(2)
なんだかすっきり晴れてくれない天気が続いてましたね。

幸い4月4日の明け方に晴れの天気予報が出ました。
パンスターズ彗星がちょうど有名なアンドロメダ銀河のそばを
通過中だったので、これは撮らないわけにいかない!と思い
平日だったもののいつもより1時間早起きをして
明け方パンスターズ、略して「明けパン」を見ました。

デジカメと望遠レンズを三脚に載せてパシャりと撮っただけです。(固定撮影といいます)
b0253922_1712983.jpg
2013/4/4 4:32 神奈川県秦野市にて D70+Tokina80-200(80mm) 固定撮影 露出8秒トリミング

高度が低い上、東京の光害+月明かりもあって空が白かったですが何とか写ってます。
かわいい尾がちょろっと左上に伸びていますね。

こちらはズームして撮ったもの(データ200mm 他は上記と同じ)
b0253922_1719139.jpg
b0253922_17191857.jpg

アンドロメダ銀河とパンスターズ彗星が一緒に写っていますが
もちろん偶然に方向が重なって見えているだけです。

実際は、
パンスターズ彗星がもの凄~く「近く」
アンドロメダ銀河はもの凄~く「遠く」
にあります。

どれぐらい差があるのか、ざっくり計算してみました。
今、パンスターズ彗星の距離は地球から太陽の距離ぐらい(正確にはその1.3倍)にあるのですが
それを縮尺を変えてみます。

パンスターズ彗星が自分の目から距離1mm先にあるとすると・・
アンドロメダ銀河の距離が15万km(笑)

15万kmって月までの距離の半分弱です。地球4周ぐらいの距離とも言えます。
想像できますか?

人間の目は、山の景色など遠すぎるものは、経験で遠近を感じてると言いますよね。
「遠くの山は小さい」とか「遠くの山は色が薄い」とか、
そういった総合的な情報で脳が遠近を感じるように処理します。

今回のような写真の場合、どうやっても経験がない画像ですから
「自分で考えて遠近を感じる」方法でしか感じる方法がありません。
もし、パンスターズ彗星が近くに浮いて見えて
アンドロメダ銀河がずーっと遠くに見えたら・・
そんなあなたは素敵です!
星の写真の一つの見方を習得したことになりますよ(^^)

夜空を見上げて月の近くに星が見えたら
遠近を想像してみてくださいね。
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by star-feel | 2013-04-07 19:01 | 天体感測(実測編) | Comments(0)
やっとパンスターズ彗星をとらえました。
遠距離通勤者には平日の夕方すぐに沈んでしまう彗星を狙うのは無理。
ということで数少ないチャンスだったわけですが、
別の用事もある中、帰りになんとか撮影しました。
b0253922_1422377.jpg
2013/3/16 神奈川県秦野市にて NikonD70+Tokina80-200(80mm)
右側に写っているのが彗星です。尾が縦にVの字に広がって伸びています。

ちょっとズームして撮ったのがこちら。
b0253922_14232789.jpg
2013/3/16 神奈川県秦野市にて NikonD70+Tokina80-200(116mm)

「小さっ」って思った方もいらっしゃるでしょう。
実際の彗星の尾の長さはどれくらいなのか?
この写真と先日作成したパンスターズ彗星の軌道模型からざっくり計算してみると・・

①軌道模型の3月16日の位置から地球から彗星までの距離が太陽までの距離と同じぐらい(かなりざっくりです)なので同じとして距離1億5千万km。
②写真上の彗星の尾の角度を0.25°と読み取りました。(以前撮った星の写真からこの写真上の長さと角度の関係を出して求めました)
③地球から見た彗星の尾が真横になびいてくれている訳ではないので斜めになっていると本来の長さより短く見えます。なので軌道模型から地球-太陽の直線と尾の方向の角度を分度器でざっくり測って50°としました。

①~③から計算すると尾の長さは 85万km! と出ました。
かなりざっくりな計算ですが確実に尾が写っているところを測ったので
実際はもっともっと長いと思われます。

85万kmってどんな大きさなのか自作模型を使って見てみると・・
まず地球を1cmの球とします。
b0253922_143112.jpg

月までの距離は約30cmです。こんな感じになります。意外と離れてますよね。
b0253922_1432718.jpg

今回求められたパンスターズ彗星の尾は地球-月までの距離の倍ぐらいになるのでこんな感じに!
b0253922_1434676.jpg

もちろん実際の彗星はホウキじゃないですからね。
彗星は「ほうき星」とも言われるのでホウキで代用させてもらいました(笑)

彗星の尾って長いもんですね。
ざっくりの計算でも自分で撮影した写真から大きさを感じられるのって楽しいです。
まさに天体感測!(^^)

今回は事前の準備もなく時間ぎりぎりに到着し撮影したので
双眼鏡で満足に探す余裕もなく、多分この辺にいるはず
という感覚だけでとりあえず撮影して終了。
後から画像を見て「あ、写ってた!」という始末でした(笑)
次はしっかりこの目で確認したいと思います。
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by star-feel | 2013-03-17 14:27 | 天体感測(実測編) | Comments(2)
ロシアの隕石、驚きましたね。
今のところ直径10mクラスと推定されているようです。

そして今朝は小惑星が地球をかすめて通り過ぎていきました。
名前は「2012DA14」と付いています。こちらは直径45mとか。

肉眼では見えない明るさでしたが双眼鏡や望遠鏡では見えました。
撮影をしてみました。
b0253922_1451744.jpg
Data 2013/2/16 4h50m0s-30s FC-76 直焦点撮影 神奈川県秦野市自宅にて

星と同じく点に光っている小惑星が地球付近を高速で移動したため
露出時間の30秒間の移動で線になって写っています。

比較用に同じ望遠鏡で撮影した月の写真を合成しました。
(実際にここに月があったわけではありません)
30秒の間におよそ見かけの月の大きさ相当分の角度を移動していたことがわかります。
速くて望遠鏡で追っかけるのが大変でしたよ。

今回のように地球のすぐそばを通過する現象が見られるのはとても珍しいです。

これはぜひ「小惑星までの距離」を測ってみたい!!
地球上の離れた2点から小惑星の位置を観測すれば距離がわかるはず。

2週間ぐらい前にこの小惑星の通過の予報を知り、富山のnakaさんを誘って
神奈川県と富山県の2点で同時撮影をしてみました。
こちらが2点の観測結果を合成したものです。(合成はnakaさん提供ありがとうございます)
b0253922_144148.jpg
上側に縦になっているのが先ほどの写真で、全体が明るい写真が富山で撮影された写真です。
小惑星は左が富山からの撮影、右が神奈川からの撮影になります。

見事にずれていますね。小惑星が星より十分近いところにいるからです。
このずれ量を測定し観測点間の距離と位置関係から小惑星までの距離を求めてみたところ・・

神奈川観測点から小惑星の距離 = 31250km (誤差数%)

と出ました!実際に観測して計算すると面白い!
この距離って地球の直径の2個半ぐらいです。
静止衛星ひまわりが3万6千kmぐらいですからね。その軌道より内側を通ったことになります。


ついでに30秒間の移動量から速度を出してみると、

視線方向に対して直角方向の速さ = 6.8km/秒 7.5km/秒 (計算ミスにつき修正)


速いには速いですが、流れ星の一般的な地球への突入スピードが30~70km/秒からすると
とってもゆっくりなんです。
ちょうどリレー競争のバトンを渡すときの2人の走者が一緒に走っているような感じで
地球と小惑星が一緒にすごい速さ(30km/秒)で太陽の周りを回りながら
すれ違っていったわけです。

冬の天気は日本海側と太平洋側が同時に晴れることが稀なので
今回1回でも同時撮影が出来たのは幸運でした。
nakaさんありがとうございました!
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by star-feel | 2013-02-16 15:22 | 天体感測(実測編) | Comments(6)

by star-feel