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天体感測のススメ

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宇宙を感じる生活

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※計算に進展がありましたので編集し最後に追記しました(2013/6/29)
前回、パンスターズ彗星のアンチテイルについて疑問に思ったことを書かせていただきました。
今回はその続きですが、少し専門的な内容なので詳しい説明は省かせていただきますね。

さて、謎の件について、問い合わせもしつつ、いただいたアドバイスや資料も参考に、自分なりに考えた結果、次のような推測にたどり着きました。

「パンスターズ彗星が最も太陽に近づいた3月10日頃3月5日頃に、短期間にβ<0.5程度β<0.07のダストが大量に放出される現象が発生し、それが謎の尾になったのではないか」
値の変更とグラフを追加しました(6/29編集)
b0253922_5103498.png


通常の尾を作っているダストは継続的に放出されているが、それとは独立して、謎の尾のダストは3月上旬の一時期にドバっと放出されたってことはありませんか?・・ということが言いたいのです。

ド素人の推測なので、全然間違ってる可能性も大いにあります。疑いの目で見てくださいね(笑)

週末に取り組んでみたのは、
①彗星の軌道要素から位置計算をやってみた
②彗星からダストを放出させてみてシミュレーションしてみた
でした。梅雨の時期は天文計算に限ります(^^)

結果は下の2つのグラフ
・原点が太陽の位置、平面は彗星の軌道面
・グリッドは地球と太陽の距離を1とした天文単位
・緑の線がパンスターズの軌道
・橙の点は前回記事の中のKさんの写真の撮影された日(5/5,5/9,5/13,5/22,5/31,6/8)
・青の線はβ=1.0としたシンダイン曲線
・赤の点線が3/11に放出したダストのシンクロン曲線を直線に置き換えたもの
 (ちなみに3/11の彗星の位置は原点の左側の緑の点のちょっと上です)

左が5/5のダストシミュレーション                  右が5/31のシミュレーション
b0253922_22574074.pngb0253922_22575978.png



















3/11に色々な大きさのダストが放出された後、空間を飛んで5/5時点, 5/31時点の位置を結んだものが、赤の点線になります。
この点線が前回の記事で書いた「謎の尾」の角度に似ています。
さらに左右のグラフを見比べていただくと、この角度が一定角を保ちながら進んでいくというところが重要です。
赤の点線の長さは無視して角度だけ見てくださいね。

なお3/11シンクロン曲線が直線になってしまっているのは、β=1.0は簡単に計算できるけど、他が計算できなかっただけです(^^;)
本来は曲線という通り緩やかに弓なりになるはずなので、直線で書いているのは誤りになるのですがシンダイン曲線よりは直線になるようなので、ここでは仮説を立てる為に強引に直線にしました。
力不足につきご容赦ください。
⇒βが他の値も計算できるようになりました(6/29)

当初は、β=1.0のシンダイン曲線で謎の尾が説明できるのではないか、と頭の中で考えていました。
実際にシミュレーションしたら大はずれでした。
どうしても太陽と反対方向寄りに尾が伸びてしまうのです。

ラチがあかなくなったので、思い切って近日点通過時のβ=1.0を書いたところ、
謎の尾に近い角度が出てきたというわけです。

β<0.5程度と考えてみたのは、Kさんの写真によるアンチテイルの長さが0.25天文単位でしたので、3/11日に放出したと仮定するとβはかなり0に近いと考えないと尾が長すぎるからです。具体的にβも決められるはずですが、こちらも力不足によりわかりません。ご容赦ください。
⇒こちらもβが計算できるようになったため放出日が求められました(6/29)


自分の立てた説に反論してみると・・
近日点通過頃に大きな放出があったなら増光するのでは?
っていうか、近日点通過頃だけに放出ってあまりにも出来すぎてない??

・・・むむむ(笑)

今のところ、こういうモデルでも立てなきゃ謎の尾をうまく説明できないので・・(^^;)


<6/29追記>
この記事を書いた6/25にはまだ彗星の軌道要素から彗星の位置を知ることしかできなかったため、β=1.0のダストしかシミュレーションできず、かなり推測が入ったものでした。

その後、彗星の位置が分かれば放出されたときのダストの速度や方向がわかることに気がついたので最初の初期条件だけで軌道が正確に計算できるものかを試してみました。
高校の物理の教科書を引っ張り出しました(笑)
Excelを使い、ある時刻の位置でのダストの速度に、太陽の引力で発生する加速度からダストの速度に変化を加え次の位置を計算し、ひたすら繰り返しただけです。1分刻みでシミュレーションしました(過剰だと思いますが・・)

その結果、軌道要素から計算した彗星の軌道とほぼ一致しました。当たり前といえば当たり前なんですが、ちょっと感動です!(^^)
条件を設定すれば、動きが計算できるようになったので、βを変えて(太陽の引力の影響を小さくして)同様にシミュレーション。放出日を3/11とすると、謎の尾と太陽の反対方向との角度差が実測より少し小さくなることがわかったので、放出日も変えてみました。Kさんの写真による5/31の謎の尾の長さが実距離で0.25AUでしたので、その長さになるようなβも探しました。

結果は、冒頭のグラフのように3/5頃にβ=0~0.07のダストの放出で観測結果と大体一致するようになったという訳です。グラフの赤い線が謎の尾をシミュレーションで再現したものになります。専門的には3/5放出のダストによるシンクロン曲線ということになります。

Kさんの写真による解析では5/5付近の謎の尾の長さがシミュレーションより短いですが、軌道面をほぼ真横から見ている5/31頃に比べて軌道面を上から見ている状態になっていたため、暗く見えたのだと推測します。

観測から仮説を立ててシミュレーションで再現できるのも楽しいものですね。いつの時代の天文学者さん達もこういう興奮を日々味わっているのでしょうね(^^)
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by star-feel | 2013-06-25 23:47 | 天体感測(実測編) | Comments(0)
世間的にはパンスターズ彗星の話題はすっかりなくなりましたが、実はまだまだ写真にも撮られています。
先週、ヒロシ君(口径32cmドブソニアン望遠鏡の愛称)を使って自宅から見たら、微かに尾が見えましたよ(^^)

空の暗い環境で写真を撮るとこんな素晴らしい彗星の姿になっています。
これは地元の同好会のKさんが富士山周辺で撮影された写真です。(Kさんありがとうございます!)
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パンスターズ彗星 2013/5/31 23:08 120sec×3コンポジット 100SDUFⅡ400mm ISO1600 D700

実は4月上旬あたりから何かおかしいな?と思い始めたんですよね。

何がって、それは「尾の方向」です。

別の彗星の写真と比べてみましょう。(左は自分の写真、右はKさんの写真です)
b0253922_14485653.png
黄色の点線で囲んだ部分が「ダストの尾」と呼ばれるものです。
彗星から放出されたダスト(塵)が太陽光の放射圧(光圧)に吹かれて伸びている様子が見えています。彗星が高速で移動していくため尾は太陽と正反対の方向にならず、曲がって見えます。
ヘールボップ彗星の方で見えている青色の尾は「イオンの尾」と呼ばれるものでこちらは太陽と正反対の方向に伸びます。

そして、おかしいなと思った尾は「謎?の直線の尾」と書いた尾のことです。
一般的には逆に伸びた尾(テイル)ということで「アンチテイル」と言われます。
アンチテイルは、ダストの尾が薄く広がった平面を横から見たら濃く見え、見かけの方向によって太陽の方向に伸びて見えます。

この尾の変化をKさんの写真で見てみましょう。5月5日から22日の写真です。
それぞれ、「彗星の中心から太陽のある方向」に線を伸ばしてみました。
b0253922_1457545.jpg
アンチテイルと太陽方向との角度が、段々と狭くなっていっているのが分かりますね~。

しかし、観測しているのは地球から見た「見かけの姿」です。以前、パンスターズの模型を作ったように、三次元で考える必要があります。
b0253922_18511237.png
彗星の尾が彗星軌道面にあると仮定すると、写真を彗星軌道面に投射したとき(図の?のところ)の、アンチテイルの姿が知りたいわけです。(彗星の軌道面上にあると仮定した理由は、後の補足で説明します)
ちなみに楕円を描いている彗星の軌道面上に太陽があります。地球が太陽の周りを回っているように、彗星も太陽の引力の影響で周りを回る天体だからです(模型では地球のほぼ円軌道に比べ、彗星の軌道は大きく楕円になった、ほんの一部だけ見えています)

目的は決まったので、後は計算あるのみです。
今回は太陽の方向や彗星の方向をステラナビゲータという天文シミュレーションソフトを使い、彗星の尾の方向を写真から読み取り、懐かしい高校の代数幾何「平面と直線」を使って彗星軌道面上での位置を求めます(^^)

図の?のところに出てきた結果がこちらです!
b0253922_22195947.png
なんと、謎の直線の尾(アンチテイル)の方向は、太陽の方向でもなく、太陽の正反対の方向でもなく、
「太陽の正反対の方向から65~70°の方向でほぼ固定」
になっていました。(注意:こちらは先ほどまでの太陽の方向に対しての角度ではなく、正反対の方向からの角度で表わしています)
グラフの単位の「AU」とは「天文単位」で、太陽と地球の距離を1とした単位です。携帯電話の会社のことではありません。
模型上に表わすとこんな感じです。
b0253922_18525470.png
見かけではアンチテイルと太陽方向との角度が段々と狭くなっていっているように見えましたが、実は「(少なくとも5月は)ずっと方向は変わっていない」ということになります!

ここまでわかって、じゃあ、この尾は何なんだ!と言われると・・分かりません(爆)

アンチテイルの説明で言われる「彗星の軌道面上に薄く広がったダストの尾を横から見たら濃く見える」の部分に関しては、彗星軌道面に近い5/22や5/31の尾がとても長く伸びていることからも説明がつきます。(ちなみに5/31の彗星のアンチテイルの尾の長さが3800万kmと出ました。長い!!)
しかし、ただ軌道面上に広がっているだけだったら、こんな風に特定の方向には伸びませんからね。

さっぱり分からないので、ここは自分で考えて楽しむチャンス!ということで(^^)
色々な説を立ててみています。
例えば、彗星の自転軸が謎の尾の方向で、そちらにダストが特別多く噴出されているから・・とか
・・・(^^;)
いやいや、この説も自分でも納得いかない(笑)
星の世界も色々なことが事前にシミュレーションで分かってしまう時代ですが、不思議を前にするとやっぱり自然を相手しているんだなって思います。

4月上旬から悩み始めてもう2ヶ月。
いい加減ネット上のどこかで誰かが説明してくれているかな~と思って期待しているのですが、
探し方が悪いのか中々見つからないのでブログに書いてみました。
ご存知の方はぜひ教えてください(笑)




ここからは専門的な補足です。

先ほどは、謎の尾が彗星の軌道面にあると仮定して話を進めましたが、もともと謎なんだからそんな仮定をしていいのか?というツッコミができると思います。
自分も5月の上旬あたりまでは、三次元的にどう考えたら良いのかさっぱり分かりませんでした。
Kさんの5月5日~13日の写真をもとに太陽方向からの角度をグラフにしてみたところ、偶然とはいえ、ちょうど地球が彗星の軌道面を通過する5月27日頃に0°になりました。
b0253922_1653251.png
その日に地球から彗星を見ると謎の尾が太陽の方向に見えることになります。
もし、謎の尾が彗星軌道面上にない場合は、地球が彗星の軌道面上の位置にあるときに地球から彗星を見ると、尾は太陽の方向や太陽の正反対の方向とは関係のない方向に向くはずです。つまり、謎の尾が彗星の軌道面上にあるということです。
グラフではその後の5月22日と31日のデータを追加していますが、予想通りの変化をしていきました。面白いですね。
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by star-feel | 2013-06-09 20:07 | 天体感測(実測編) | Comments(12)

by star-feel