みなさんは人類が”最も遠く”に人工物を着陸させた天体って何か、ご存知ですか?
答えは「土星の衛星タイタン」です! え、そんなとこ行ってた?って思いました?
アポロの行った月でも、はやぶさの行ったイトカワでも、海王星にも行ったボイジャーでもないんです。
これからご覧いただくのは「土星の衛星タイタン」に着陸した小型探査機「ホイヘンス」の画像です。
これは探査機が降下中にタイタン上空2kmから撮影したパノラマ画像を360°画像にしてみたものです。
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タイタン360°画像 視点を動かしたりズームしたりしてご覧いただけます。
画像NASA image Libraryより (パノラマ画像を360°画像に加工、空と真下は画像がなく適当にベタで塗りつぶしました。360°画像再生は普段お世話になっている360°カメラRICOH THETAのサイトを利用させていただきました。)
どうでしょう?CGではなく実際に観測された画像ですよ!スカイダイビングをしているみたいですよね。地球にある河口のような地形が広がっています。
ちなみに着陸したのは2005年です。
そんなびっくりなニュースがあったのを知らずに生活していた方も多いのではないでしょうか(^^) 日本が打ち上げた探査機だったらもっと知られていると思うのですが。
どんな着陸だったか簡単に紹介しましょう。
ホイヘンスはカッシーニという親機に搭載されて土星に着きました(2004年)
写真は土星のアップとタイタン(左下)。
土星よりだいぶ小さいですが、タイタン(直径5200km)は月(3500km)より大きいです。大気があって輪郭がぼやっとしています。
もし普段、私たちの見ている月がタイタンだったら?と想像してみてください。1.5倍ぐらいの大きさのぼやっとした天体が浮かんでいると思うと面白いですね。
さて、そのタイタンに小型機「ホイヘンス」が投入されました。2005年1月14日のこと。
こちらは着陸の様子を描いたイラストです。
大気の抵抗があるのでパラシュートを使って降りることができます。大気のない月では無理な方法です。
このとき上空から時々撮影したパノラマ写真がこちら。
上から上空150km、15km、2km、400mの順に並んでいます。
ただ、このパノラマ画像を見ても今一つ実感が湧かないですよね。
そこで、最初にご覧いただいた360°画像はこの中の2km上空の画像を切りとり、360°画像として見えるように変換してみました。
再度360°画像をご覧いただくと、パノラマ画像より空間が認識しやすくて、自分がタイタン上空を飛んでいる気になりませんか?(^^)
そしてついに着陸!丸い石が目の前に転がっています。遠くの石まで写っていますね。この画像は人類にとってとても貴重な写真だと思います。
最後に着陸までの様子を実際の画像を上手く繋げて作成された動画がYouTubeにありました。分かり易く必見です。(タイタンに降りるのは動画1分ぐらいから。着陸のアップは撮影された画像から作成されたCGです)
ちなみに土星を天体望遠鏡で観察するとタイタンは結構簡単に見えています。8等級あります。意外に土星から遠いので背景の星だと思ってしまう方も多いです。
天体観察会で土星を見る機会がありましたら「タイタンはどれですか?」と聞いてみたり天文アプリで調べてみると良いでしょう。
ぜひ実際のタイタンを観察しながら、遥か彼方の天体の様子を想像してみてください。
※画像はNASA image Libraryより